セラ改造指南道場 12章 コクピットノススメ3


続きまして、見るところです。
ハンドルの向こう側にはメーターがあります。スピードとタコメーターが大きく2箇所に。左端に燃料系、右端に水温計、下の方に横一列で、各種のインジケーターと時計が並んでいます。スピードとタコの数値が放射状に描かれているのは新旧・洋の東西を問わず唯一ではないでしょうか。(ラクティスをご覧下さい。2006.3)琥珀よりも黄の強い、セラのイメージカラーを思わせる色づかいと合わせて、古さを感じさせないデザインだと思います。(アナログのオドメーター、トリップメーターと、点灯していなくても存在がバレバレなインジケータ類は旧世代そのものですが)
いま現役で走っているセラも例外なく古くなってきており、いつどこが壊れるかわかりませんから、車両の異常はいち早く見つけたいもの。それなのに、標準のインジケーターというものは往々にして、点いたときにはもうクルマは壊れているものです。「リアルタイムでクルマの調子を見たい」「純正メーターに表示されない情報も欲しい」「目が悪いのでもっと近くで、大きな表示が欲しい」「デジタル数字が好き!」「もっといっぱいメーターをつけたい」そんな要望に応える後付けメーターが各社から発売されています。これらはエンジンや補機類から情報を拾うものが多く、基本的には車両の新旧を問わずに取り付けができます。
メーターの種類も多いのですが、管理人のオススメする順で説明していきます。後付けメーターは本当に奥が深いので、このサイトではごく簡単な紹介にとどめます。



1.油温計、油圧計

純正のメーターにはエンジンオイルに関するものはありません。警告灯はありますが、クルマに何かが起きてから点灯するものです。普段の状態を示したり、その変化から異変を感じ取るにはまったくの不向き。オイル管理はチューニングするほど、その効果を持続させるのにきわめて重要です。エンジンをかけていない時はレベルゲージを見たり指にとってじかに触ってチェックもできますが(触って何が分かるかと言われたら…(わらい))、走行中ならメーターの出番です。オイルの温度と、オイルがどれくらいの圧力でエンジン内を巡っているかをチェックできるのが油温計・油圧計です。この二つの内では油温計の方を優先したいのですが、情報を取得するセンサーをだいたい同じところにつけるので、いっしょになりがちです。
オイルフィルターの取り付け部にアタッチメントを挟みこむことで、センサーの取り付け部分を設けます。NAエンジンならどのメーカーのアタッチメントでも問題なく取り付けられると思いますが、これがターボになるとたちまち適合から外れます。4E・5Eエンジンはオイルフィルターがエギゾーストマニホールドのすぐ横にありまして、排気の熱をモロに受けており、また現代の設計では考えられない、ツンと上を向いた取り付け方向となっています。NAならなんとか手も入るし、上から覗けばフィルターは目視できます。が、ターボですとこのエギゾースト部分に巨大なタービンがあり、上からフィルターを見たり触ることができません。そもそもターボ専用でオイルフィルターを横にスライドさせるブラケットがトヨタ純正で採用されており、無理な設計であることは一目瞭然。それでいて周辺のクリアランスにちっとも余裕がなく、オイルフィルターの直径サイズよりも大きいものは何も入らない状態。4E−FTEに正規適合が取れているアタッチメントはBLITZのものだけです。



2.水温計

右端についているノーマルの水温計では、いま何度なのかわかりません。エンジンが温まってくるとゆっくりと動きだし、真ん中くらいまで昇ってきます。しかし、その位置から上下どちらにでも動いたのを見たことありますか?あるとしたら、どこかが調子悪いか壊れてしまった時でしょう。実際のところ、走ったり止まったりでエンジン冷却水の温度は上昇・下降を繰り返している(85〜100℃とか)のですが、変化をそのままメーターに表示すると、一般のお客サマは逆に故障と思ってクレームが来ると言われています。普通に走れる範囲の変動であれば、針が動かないようにわざわざつくってあると考えてください。つまるところそれは安心のためなのですが、やはりそんなんじゃつまらないでしょうし、本気走りの際にはリアルタイムで「今」の状態を知りたいものです。
ボンネット開けてすぐのところにある、ラジエターのアッパーホースに温度センサーをセットするので、比較的取り付けもしやすく、温度のメーターは安めなのでとっかかりもよいでしょう。センサーを取り付けるのに、アタッチメントを使う方法が一般的ですが、ホースを切断する必要がありますので、しっかりやっても継ぎ目から冷却水が漏れる可能性が高いです。BLITZのクーリングパフォーマーというホースには、センサー取付用の穴がついており、オススメです。そのかわり、安いメーターと同じくらいの値段がしますが…。



3.負圧計(バキューム計、またはインマニプレッシャー計)、ブースト計

4Eターボに載せ替えるなら、ブースト計は必須と言ってもいいでしょう。タービンによる過給がどれくらいかかっているのか、ターボ車には絶対に欲しい情報です。スターレットもターボモデルには過給圧を示すメーターが専用で存在しています。また、ターボ車は過給圧を制御するブーストコントローラーを取り付ける場合が多いのですが、その制御には圧をリアルタイムで検知する必要がありますので、ブーストコントローラーをメーターの見やすい位置につければ、ブースト計の代わりになります。こういったコントローラーの表示はまず間違いなくデジタル数値表示なのですが、追加メーター系のアナログ指針だと100分の1単位の見切りが難しいので、ハッキリと数値の分かるデジタルの方がオススメです。
NAではバキューム計、またはインマニプレス計と呼ばれる、ブースト計の正圧部分を除いた、つまり負圧部分だけのメーターを取り付けることができます。アクセル全開、または少し踏み込んだだけでも、振り切った状態のプラマイゼロを指し示し、大気圧力がかかっていることを表します。こちらはアナログの方がオススメなのですが、ちょっとしたアクセルワークで敏感に動くため、自分がいかに無駄な運転をしているかがよく分かります。バキューム計を付けてアクセルワークに気をつけるようになると、マニュアルのセラなら15km/L出ます。
また、アイドリング時でも基本的に一定の値を指すのが通常で、これがブレたり普段と違う値を指すようなら、エンジンに異常が発生していると読み取れます。そんなきっかけにもなるメーターです。



4.タコメーター(回転計)

これはノーマルでも充分…というか、社外品を付けても指し示す値は原則としてノーマルとあまり変わらないのですが、盤面の大きさや取り付け位置に自由がききますから、アクセルベタ踏みで前をしっかり見つつ、ちらっと社外タコメーターをみてシフトチェンジのタイミングをはかる、という走り方ができます。チューニングを進めてパワーが出るようになると、1速や2速ではあっという間にタコメーターは振り切ってしまうもの。目の前…というか、フロントガラスよりも手前、しかも目線下方向にあるノーマルのメーターをいちいち見ているようでは危険です。それに、そのレベルまでいじってようやく、動きの精度が高い社外品の出番でしょう。
社外品のタコメーターは、基本的に他の種類のメーターと較べて径が少し大きいタイプがあります。また、特定回転数時点でランプを点灯・点滅させることでシフトアップ時期をドライバーに知らせる、シフトタイミング機能を持つものが多いです。盤面を見なくても決めておいた回転数に達したことを知らせてくれますから、本気走りで前しか見ていられない状況でもオッケー、というわけです。



5.スピードメーター(速度計)

これまたノーマルで充分なものですが、180キロまでしかない純正メーターに対し、240とか320とか、あり得ない数値まで盤が切ってあります。そんな速度が出るわけはないのですが、そこまであることに意味があり何かを感じる、そんな人は少なくないようです。
個人的には、軽自動車の140キロまでのものの方が、ちょっとした加速でも針がギューンと一気に駆け上がるので速い気がして好きなんですがね。
また、デジタル数字で表示するタイプですといかにもメカっぽくて、管理人くらいの世代にはグッとクるものがあるのではと思います。Z30型ソアラやアルテッツア最終モデル、RX−8とかイイですね。
ナビを付けると、ナビにも車速信号を入力するので、その配線をたどっていくと、どこから信号を拾えるか分かると思います。セラくらいの古いクルマですと、一般的にはECUに入っていく前あたりの場所になります。



6.燃圧計
このあたりまでくると、相当改造してある車や、レース専用、ナンバー無し車両とかの話になってくるのではと思いますが、紹介だけでも。その名の通り、燃料の圧力がどれくらいのあるかを表示するのですが、これが低ければ、エンジンに対して燃料が足りてない可能性があります。そもそもガソリンはセラの場合後部座席下にある燃料タンクからポンプで送出され、フロア下を通ってエンジンまで届き、フィルターを通過したらインジェクターによって噴霧され、爆発します。クルマの後ろから前まで通路(フューエルライン)があるわけです。これがどこかで詰まっていないかどうか、またECUチューニングのなかでセッティングが異常でないかどうかを判断します。燃圧が低くて燃料が薄いとどうしても燃焼室の温度が上昇してしまい、ピストン棚落ちや油膜切れの症状からブローにつながります。それに、いまやどのセラも10年10万キロを経験してきており、経年劣化は避けられないところです。ほかでもないガソリンなのでとっかかりにくいですが、異常を見つけるためにできる限りのことはしてあげたい部分ではあります。油圧もそうですが、この燃圧は普段と変化がないかを見るためのものととらえてください。
純正エアクリーナーボックスの近くに筒型のフューエルフィルターがあります。そこから柔軟性のあるホースが伸びてエンジン上部にあるデリバリーパイプへ入っていきます。このホースを切断してアタッチメントを挟み、センサーを設置します。水温計同様、漏れる可能性がありますよね、しかもガソリンです。プロショップで確実に取り付けしてもらいたいものです。



7.排気温度計

その名の通り排気ガスの温度を測ります。ここから燃焼室内の温度を想像することができるわけです。排気温度が高ければそれだけ燃焼温度も高いということです。一般的に空燃比が薄ければ排気温度は上がります。温度が低くてもパワーは得られないので、ECUセッティングの際に理想的な空燃比を保持しつつ、エンジン、ひいてはピストンが耐えられる燃焼温度内で保つ必要もあるし、ハードな走行で継続して高回転を維持していると、排気温度も上がってきます。 排気温度計の目盛りはだいたい200℃〜1200℃までのものが一般的ですが、指針はノーマル車で〜650℃、ライトチューンで 〜700℃、ハードなコンピュータチューンなら〜850℃程度のようです。一発の大勝負で鍛造ピストンなどを入れている場合は900℃のセッティングやそれ以上を出すこともあるようです。油温計と並んでマシンにドクターストップをかけるためのメーターですが、ある程度は油温計だけでも判断できます。あくまでピストンのストレスを知り、セッティングの際に空燃比の調節を行なうためのメーターです。
エキマニ、さらにはエキマニのインシュレータにドリルで穴を開け、ネジを切ってセンサーが取り付けできるように加工します。もし失敗すると排気漏れを起こすし、たいてい直らないので、プロショップに任せるべきところです。エキマニよりも後の方、フロントパイプから取る方法もありますが、わずかな位置の違いでかなり低い計測温度になってしまいます。



8.電圧計、電流計

バッテリーが元気かどうかを判断するのに役立つメーター……といえばそうなんですが。近年のキラキライルミ・HiFiオーディオブームは目に余るものがありますが、それらを駆動する電気、すなわちバッテリーの負担は相当なものでしょう。酷使の裏に優しいケア有り、と言うわけではありませんが、こういったもので異常をすぐに検知できるよう心がけたいものです。
電圧計はターボタイマーにその機能がついているものがあります。基本的に自動車の配線は至る所に電気が通っていて、相応の電圧がありますので、どの線にでも咬ませればそこの電圧を測定できます。電流計も基本的には同様ですが、ちょっと珍しいのか構造上か、なかなかに値も張ります。



9.メーターの配置、取り付け位置
多種多様な後付けメーターを紹介してきましたが、これらをコクピットのどこに設置するかについては、見やすさと設置しやすさ、はたまた見た目の問題もあって、なかなかに悩んでしまうところです。
まず、汎用固定器具を使って「Aピラー」に付ける。運転席「右側エアコン吹き出し口のすぐ上」この2箇所が右方向の定番位置でしょうか。
真ん中周辺では「ステアリングコラム」に耳を生やすように。はたまた、唯一純正メーター内で隠しても問題ない「時計のすぐ前」があります。クエストパワー製「3連メーターフード」の収まりの良さはさすがです。
左の方では「ハザードスイッチの上」が、センターメーターを思わせてイイ感じです。常時見るものでなければ「グローブボックスの中」に自作パネルとともに組み込んで、開けっ放しにしておくという手もあります。
また「助手席側ダッシュボード上」は傾斜こそありますが単純にだだっ広く、たくさん並べられます。配線の取り回しもありますのでどこでも好きなようにとはいきませんが、これまたミーティングでいろんなセラを見せてもらって参考にするとよいでしょう。
きちんと稼動するエアコンが必須のセラではやらない方がいいと思いますが、運転席の丸いエアコン吹出口2つの内径が、60パイのメーターを埋め込むのにちょうどよいサイズなのです。旧管理人の改造日記に詳しく載っていますので参考にしてください。



10.ワイドミラー

用品店などでよく売っている、ノーマルのバックミラーに重ねるようにして取り付け、広範囲まで見られるようにする後付けミラー。セラのノーマル品は防眩機構つき(下に出っ張っているレバーを前後させると角度が変わり、後方車両のヘッドライトなどの眩しさを抑えられる)なので厚みがあり、サイズの大きな後付けミラーであってもしっかり固定できるようです。ノーマルのバックミラーでは見える範囲が狭く、自車のすぐ後ろくらいしか映りません。このような後付け品で見える範囲を広げて死角を少なくし、安心して運転できる環境を目指しましょう。最近では、後部ガラスにスモークを貼っていたり、プライバシーガラスの車用として、鏡面を高反射率にしてよく見えるようにしたものや、逆に後方車両のライトのまぶしさを軽減させる加工をしたものなど、気の利いたタイプも多く出てきました。
また、後付けミラーには平面鏡と曲面鏡があり、曲面鏡の方が同じサイズでも見える範囲が広いですが、曲面と言うことで、左右の端がひずんで見えたり、遠近感が少しおかしく見えることがあります。一長一短ですから、自分にあったタイプ、サイズを選びましょう。だいたい1000円くらいで買えます。
セラは全高が低く、運転席で前を見ていても視野の左上には必ずバックミラーが入ってきます。後付けミラーであんまり大きい物を取り付けると、ロータリーバイザー(日よけ)が使えないばかりか、ミラーの端っこが視野前方にまで突出したりするので、ほどほどにしましょう。


11.サイドミラー
セラのサイドミラーはいわゆる電動ミラーで、運転席に座りながらスイッチで角度を調節することができます。最近のフツーのグレードの車なら、電動格納式というものが主流です。角度調整プラス、ボタン一つで両方のミラーがバタンと内側に倒れてくれるアレです。狭い駐車場に止めたりする時に重宝します。この機能はミラーの回転軸部に組み込まれるモーターによるもので、ちょっと後付けは不可能でしょう。ならば他車のミラーの流用を…と考えますが、なにせドアがセラ専用なのですから、ミラーも専用。取り付け部の形状に合うモノがありません。同様に、各社のエアロミラーも、他車用のものは相当の加工をしなくては取り付けできないと考えて下さい。
さて、ほかにもサイドミラーのチューニングというと、新車購入時のオプション等で高反射のブルーミラーやレインクリアリング機能、高視角のものがよくあります。セラでは唯一「アルファプログレス」というメーカーから防眩広角ミラーガラスが発売されています。実は管理人のオススメです。


番外.スタックディスプレイシステム、デフィスーパースポーツクラスター等

あえてメーターのところでは紹介しませんでしたが、メーターチューンの究極として、こういったものを入れる…というか、入れ替えるという手もあります。純正のメーターキット一式を取っ払っての交換になるでしょう。メーター本体が20万くらいから。基本的に汎用ですから、インパネにはめ込み固定できるよう、不可逆の加工(というか作製)を施す必要もあります。上記で紹介した追加メーターの大半の種類の情報は表示でき、また基本的にサーキットアタック専用ですから、そのための機能も充実。でもやっぱり汎用&サーキット用。保安基準を満たすための各種警告灯、インジケータ、ランプのいくつかやオドメーターは純正から引っ越してくる必要があり、これらと同居はどう考えたって至難の業。オールワンオフだし、プロショップで50万はくだらないのではと思いますね。ノーマルを撤去して何かに交換するということに意義を感じるならやってみてもいいでしょうが、普通は後付けメーターを追加する方向でやっていくでしょう。


2006.6.4