セラ改造指南道場 11章 コクピットノススメ2
まだまだ身体が触れるところについて。
4.シフトノブ
販売されるクルマの95%以上がオートマ車(CVT含む)ですから、ステアリング同様に交換されることも少なくなってきているシフトノブ。オートマでも取替・交換はできるので、用品店にたくさん並んでいるといえばそうなのですが、オートマ用のノブは原則としてマニュアル車には取り付けできませんし(両対応の物が出てきています)、セラのオートマには4速目のオーバードライブのスイッチが必要ですので、これを内蔵している交換用ノブはいよいよ珍しくなってきました。レバー内にスイッチがある構造は製造しにくいのか、知る範囲ではごく数種類、しかもきわめて高価なものしか発売されていないようです。刺し換えするだけの最近のオートマのノブとは大違いです。
こだわって交換となると、やはりマニュアル車の話になります。よく動かす部分ですので、手触りや操作感など、自分に合うモノを見つけ出したいところです。ノーマルが合ってると感じたならそれでいいんです。内装色とベストマッチしてるし、細くて握りやすいし。それでも多少なりともスポーティを感じさせるセラにあの純正シフトノブはちょっといただけない。平成初期のころまでは、どんなサイズ・クラスの車でもかならずMT車はラインナップされていたものですが、そのシフトノブに設計・開発のコダワリは見られませんでした。時期的にセラもその例外ではありません。本当に珍しくなってしまった現代のモデルにこそ、せっかくのマニュアル車、しっかり大事に造らずにはいられない、そんな作り手の執念が込められているように感じます。
さて、マニュアル車のシフトノブの主な形状を特徴とともにタイプ分けしてみます。
4−1.球形ノブ
最もシフトミスを誘発しにくいのがこの球形状…らしいです。握りやすく滑りにくい。また素材や色によっては、なんとなく車内をラテンの雰囲気にしてくれます。情熱のイタリアンスポーツって感じかな。球の大きさも様々ありますが、だいたいピンポン玉かその一回り大きいくらいが一般的。ビリヤードの球にネジ穴を切って装着、というワザ(ネタ?)もあります。滑りやすい3速から4速のシフトチェンジにも指で包み込む形になるため確実。ステアリングから手を持っていくときにも、手の平を下に向けて落とせばそこに球がある感じで、楽にフィットさせられます。
4−2.棒状ノブ
ガングリップ方式で握る人にはこれがおすすめ。ガングリップとは、バットやゴルフクラブを握るように持つ方法。確実に「握り締める」ことができる上に、各方向への力の入れ・戻しが容易なため、5速から3速に落とす場合や、2速から飛んで4速に入れる場合のようなU字型にシフトする場合は、この握りが確実。また2速から3速に入れる場合、2速から抜いてニュートラルへのシフトレバーの惰性で戻すよりは、この方法で押し込んでやるほうが速いこともあります。しかし、コンソールボックスを設置している人は、ガングリップだと腕が入る方向からしてちょうど肘が当たってしまいます。となると、違和感をなくすため、この棒ノブを丸ノブのように手のひらで扱うことになりますが(張り手シフトというらしい)これはあまりおすすめできない。手に触れる面積が少なく、3速から4速などでは、まさに指先(または手のひら)だけで引くことになり、その時汗で滑りでもしたら、思わずびっくりしてしまいます。
4−3.くつした形ノブ
セラのノーマルもこれに近いと言えます。いわゆる「押し」と「引き」を明確に区別した形。また手のひらも乗りやすい。 トップ(上面)の面積が大きいから押しやすく、はたまた引っ掛けて引きやすい。これに対してもガングリップ方式とそえるだけの方式がありますが、そえるにしても滑りにくいのがポイントで、なかなか機能性には優れていると言えます。
形だけでなく、ある程度の力を込めて操作する以上は、シフトノブの重さについても言及しておきます。純正のシフトノブは約140gで、これはごく普通の重さの部類に入ります。市販品のシフトノブは50〜400gまで幅広くあり、重くなるほど慣性でシフトにかける腕力は小さくて済みますが、動き始めるまでの初期応答には遅れが生じやすいということになります。セラはケーブルを介してギヤを操作するFFですから、重量による慣性よりも、しっかり腕の力で入れるよう、軽めのものを選ぶのがよいのでしょう。
シート同様に、他のクルマ(これはセラじゃなくてもいい)のシフトを操作させてもらって、いろんなタイプを体験するとためになります。駆動方式とクイックシフトの有無を考慮するのをお忘れ無く。さて、実際店頭へ探しに行くと、やはり思ったほど種類がありません。置いてあるのは各ワークスチューニング(TRDなど)か、RAZO(レッツォ)くらいでしょうか。そこでこっそりオススメなのが、セラ以外のノーマル(純正)シフトノブ。比較的新しめのスポーツモデルは、素材、重量、バランスまでこだわってつくられたものがあり、社外品もビックリの値段がするものまであります。それから、アルミやメッキ、金属製のものは見た目はカッコイイのですが、夏は火傷するほど熱く、冬は指が凍るほど冷たいので実はまったく不向きです。
さて、ノブがクルマに取り付けられるかどうかは、シフトレバーの規格によります。トヨタ車は径が12ミリ、ネジピッチが1.25ミリで、「M12x1.25」などと表記されます。車のメーカーが違っても、この規格に合うものであってシフトパターン表記が正しければ、何の問題もなく使用することができますので、選択肢が広がります。そういう意味でも、セラ以外のノーマル品もオススメです。
作業難易度 ★☆☆☆☆(1/5)
何も難しくありません。今ついているノブを反時計回りで外し(ものすごく固い場合がある)、逆の向きで社外品をつけるだけ。球形・棒状なら最後にどんな向きで締まりきっても操作には関係ありませんが、シフトパターンが印刷・刻印されていたり、くつした形のものは向きが決まっていますので、おかしな向きにならないようにきつめに締めます。
5.ペダルセット
味気ないゴムがかぶせられているだけのブレーキ・クラッチペダル。運転席からあまり目に付くことはありませんが、いつも踏んでいるものだし、止まるためのブレーキペダルを踏み損ねては、危険きわまりない。機能性の向上はどれだけやってもやりすぎということはないでしょう。最近では新車でも「アルミペダル」などが装備できるようになってきています。が、やはり味気ない。やっぱりこういうのは社外品に限ります。またマニュアル車でサーキットを攻めるなら「ヒール&トゥ」というテクニックが重要になってきますが、これをやりやすくするため、ブレーキペダルはアクセル側に少しはみ出し、アクセルペダルはブレーキ側に少しはみ出させるようなカバーも社外品ならではです。
用品店でもまだまだ売っていますが、やはりだいたいRAZO(レッツォ)のもの。ほかにもMOMO、プロジェクトミューなどが見つけやすいでしょう。オートマ車用のモノもあります。また、ジュランからは、純正の黒ゴムカバーの厚みを増した感じの「ハイリフト」版が安価で出ています。さまざまな形状のものが売られていますが、複数箇所にゴム、溝やディンプル加工等が入っていて、滑りにくそうなものを選ぶよう心がけて下さい。
作業難易度 ★☆☆☆☆(1/5)
アクセルにはカバーがないのでそのまま。ブレーキとクラッチは純正ゴムカバーを外します。めくるだけです。買ってきたカバーに固定用のステーを説明書に従って組み付けておきます。ペダルにかぶせ、ステーを後ろに回し、多少自由に位置がずらせるので好みの位置を決めたら、ステーのネジを増し締めして本固定します。アクセルとクラッチはカバー交換前と同様に奥まで踏み切れることを確認して下さい。アクセルはいいかもしれませんが、クラッチはいちばん奥まで切れないとまずいです。ステーのネジを思い切り締めると、長いネジがペダルの後ろへ突出してしまうことがあります。この突出分が長すぎると、つっかえて奥まで踏み切れないということになります。どうしても処理できない場合はニッパーなどで切ってしまいましょう。取り付けたら運転席に座り、足の操作に違和感がないことを確認し、おかしいと思ったらかならず位置を変えてやり直して下さい。場所が場所だけに作業姿勢がツライところです。
2006.6.4