セラ改造指南道場 3章 4Eノススメ


さて、4Eを載せるとした場合の、もうちょっと具体的な話。

4E−FTE

4E−FTEのチューニングは基本的にスターレットに沿います。 といっても純正インタークーラーはそのままだとボンネット閉まらないし、インテークの取り回しも変わってきます。なのでセラ独自の方法もあるのです。その辺も踏まえてお話します。



1.インタークーラー
前置インタークーラー
というわけで、まずはこれをどうするかでしょう。ターボ車にインタークーラー(以下IC)は欠かせません。タービンで圧縮された空気はかなり温度上昇します。エンジンが吸う空気は密度が高い「冷えた」空気がいいので、高温の吸気は避けたいところです。そこで冷やすためのICを装着しているわけですが、スタタボの純正をセラに持ってきてもボンネットに干渉し、閉まりません。ボンネットを加工して(クエストパワー製に交換がおすすめ)純正をつけるという手もありますし、あきらめてICなしでパイプを直結してもOKです。
ボンネットを加工して純正ICをつけるとなると、穴をあけないといけません。 それは同時にエンジンヘッドカバーに雨水が当ることを意味し、プラグのサビやピストンの棚落ちなどを引き起こす可能性が非常に高いです。これは最初から穴が開いているスターレットでさえよく聞くトラブルなのです。
一方、ICナシの場合は、せっかくのターボのよるパワーアップを存分に享受できないかもしれません。(吸気温は1度で1馬力違うとも言われます)パイピング自体は短くなるのでレスポンスは上がるかもしれません。でもせっかくのパワーをスポイルするのももったいない話ですよね。予算があるなら、ぜひとも前置ICを検討しましょう。しかしながら、加工しやすい社外エアロバンパーを用意する必要があるという点や、IC設置によってラジエターに風が当りにくくなるという弊害も生じます。比較的水温は安定しますが、エンジンルーム内への導風は期待できないですね。ブーストアップまで考えているなら前置きは必須と言えます。



2.ブーストアップ

ターボ車で馬力を上げるといえば、コレです。タービンが生み出す過給圧を上昇させるわけですね。スターレット純正では、LoとHiの2段階切替構造があります。が、まさかLoにするヤツはいないでしょう。Hiで最大が0.65k(公称)です。ここまでくるとアクチュエーターの赴くままに圧が抜けちゃいます。なので、ブーストコントローラーでアクチュエーターを制御してあげましょう。(取り付けはDIYでは厳しいかも。バルブレスポンスなどの問題もあるので専門店がいいです)コンピュータがノーマルですと、0.85kまでかけることができます。それ以上は燃料カットされてしまうので、ヘタをするとブローしかねません。絶対に0.85kは越えないようにしましょう。純正のアクチュエータはバネが弱くて0.8kでもタレそうです。これ以上かけるなら強化アクチュエータへの交換をオススメします。これだけで0.85kバージョンが完成です。純正比15馬力はアップしているはず。

ブーストを1.0k近くまで上げるワザがあります。FCC(フューエルカットコントローラ)です。純正CPUはブースト圧0.85kで「異常!」と判断して燃料をカットしますが、コイツはCPUを騙してずっと「0.85kギリギリですよ」と教えておくわけです。すると異常と思わずに燃料は噴射されつづけます。けれども、結局は過給圧に見合った燃料が吹かれていないので、1.0kまでくればかなり薄々です。間違えるとエンジンブローかも?ちなみに純正のタービンは長年使用するなら1.0kが限度だといいます。いずれタービン交換を考えている人なら、もっとかけましょう。FCCで10馬力くらい上がるかも、です。チャレンジャーの方はどうぞ。

そして究極はフルコンによる制御です。有名どころでHKSのF−ConVproがありますが、これには4E用ハーネスの設定がありません。ワンオフで対応するしかなさそうです。またはアペックスのパワーFC。はたまた、JAMのスーパーコンピューターシステム、ブリッツのアクセスコンピュータ、トラストのe−マネージなど、ノーマルのECUに追加基盤等を取り付けるタイプもありますが、やはりフルコン。Vproですかね。常時学習なので常に燃調補正が働きベストを保ちます。30万くらいあれば、無敵の空燃比マシーンが誕生するでしょう。純正タービンでも180psくらい出るのかもしれない。

現車あわせのコンピューターチューンという手もありますが、仕様変更などにための書き換えをするたびにお金がかかるので、オススメしません。(自分でやれるならタダですが、そんな人はココ読んでいないでしょう)やるとしたら最終段階ですけど、それでも晴天と降雨の日とか、冬と夏では燃調が違うので、書き換えは頻繁かも。やるとしたら冬にセッティング取ってください。 夏は空気が薄いので、燃料は濃くなります。夏にセッティングを取ると、冬に空気が濃くなったときに燃料が相対的に薄くなって最悪の場合ブローするかもしれません。夏にやる場合はマージン見ておいてください。



3.タービン交換

究極、といえばコレかもしれません。ECUの書き換えや制御の変更は必須です。純正タービンは下から回りますが、もっと上でバコーン!と 加速したい人、中回転から高回転まで伸びが欲しい人、様々でしょう。


3−1.EP91純正タービン
EP82からエンジンをもらった人向けです。EP91のほうがタービンのキャパが大きいです。 中速のトルクを求めるならこれがいいでしょう。最大ブーストは1.3kまでだそうです。常用なら1.1kまで。CPUはそのままでもOKか。


3−2.BLITZ K1−200V
EP91のタービンをそのままパワーアップした感覚で、下を殺さずに中回転から高回転までモリモリになります。数字のとおり200馬力対応。サーキットなどを攻めるような場合は、これがオススメじゃないでしょうか。ただしすでに販売は終了しており、中古を探すしかありません。その場合はオーバーホールしたいのですが、補給部品も出ないという話です。最大ブーストはおそらく1.3k。もう少しは余裕があると思いますが、ギリギリは怖いし、その前にピストンが先に逝くと思います。


3−3.TRUST TD−05 16G
かなり大きめのタービンで、290psまで対応します。もはや公道を超えたゼロヨン・ドラッグ向けですね。この仕様で320psをマークした人がいます。1.5kまでかかるみたいですが、エンジン全体が厳しいですよ。ブローしてもすぐ自分でどうにかできるというなら、これをどうぞ。つ〜かそんな人はココ読んでいないでしょう。常用1.1kとかでも、かなり高回転まで回してこないとブーストが掛かり始めないのではと思います。


3−4.HKS GT2510
本来はCA18DET用です。だけど、これを組んでるセラがありました。他社だし駆動方式も排気量も異なるエンジン用なので、かなり大きいタービンとなり、これまたドラッグ用かもしれません。回り始めてからはボールベアリングタービンらしく、ドッカン性を抑えてスムーズに爆裂に加速する……らしい。


3−5.その他もろもろ
もうね、やろうと思えばどんなタービンでも付きますよ、加工すれば。このご時世、ターボ車自体が少なくなってきていますから、車格・メーカーを問わず、あちこち探してみたいです。TRDのヴィッツなどのターボチューニングプランのもの(IHI製)が近いでしょう。ターボが多い軽自動車のものでも、使いようとセッティングによってはおもしろいセラになるのではないでしょうか

入手困難ですがK1−200Vあたりが妥当ではないかな?200psあれば、1トンを切るセラならパワーウエイトレシオ5kg/psですよ。トルクもすさまじいし(25キロを超えてくるか?)。これってFFで楽しく走れる限度かも。これ以上は危ないと思います、街中でも。
とはいえ今となっては、補修部品の供給も確かな純正タービンしか現実的な手はないと言っていいでしょう。


2006.6.4