4E化



セラ純正の5E−FHEエンジンは本来、スターレットの4E−FEエンジンをストロークアップした5E−FE エンジンの高出力版である。つまり、コンロッド長を長く取ることによって排気量をアップしたものであり カローラやターセル、コルサにも使われていた1500ccの5E−FEエンジン(91ps 13.2kg・m) がベースで、それに高回転の伸びを与えた「High spec」=高出力エンジンだ。 1500cc 110ps 13.5kg・m 実にリッター73.3psつまり 所詮はファミリーカー向けエンジンということは分かるだろう。

5Eというのはエンジンのナンバリング。Fがカムの種類で、 低回転用の角度の低いカムを使用しているという記号。パワーバンドは5500rpm付近。 4A−GのGは高回転用のカムを搭載しているということで、 パワーバンドは7000rpm付近となる。FEのEは電子式燃料噴射式(EFI)のことである。 元々セラの5E−FHEエンジンは4E−FEのストロークアップ版であり、 コンロッドが長い分ピストンのブレが大きい。つまりターボ化して 酷使するには耐久性に大きな問題があるのだ。

セラはスターレットと比べて30kgほど重いため、1500ccのエンジンが与えられたのだろう。 もしくは、ベース車となったコルサが1500ccだったためかもしれない。ベース車である ターセル&コルサとは明らかに違いスポーツテイストを発揮しているセラに、このエンジンは あまりにも酷であろう。1500cc・110psである。

車にはパワーウエイトレシオ(以下PWR)という概念があるのをご存知だろうか? 車重を馬力で割る。つまり、1馬力あたり何kg背負っているか、という数値で、これが 小さいほど速いと言われる。国産最高峰のスポーツカーのPWRは軒並み5kg/ps台だ。 ちなみにポルシェ911ターボGT2が3kg/ps台だが、この辺はかかるお金のケタが 違うので勝負の相手ではない。例えば、セラと同じFF車で言えば、インテグラタイプR。 国産最強のFFといわれるこのマシンは、1080kgで200馬力を誇る。おっと、PWRは? PWR=1080÷200=5.4kg/psとなる。セラは930kgで110馬力。PWR=8.4kg/ps。 これじゃあ話にならない。

トヨタは昔から底辺に位置する車には必ずスポーツモデルを設けていた。 それがスターレットGTターボ(以下形式名EP)である。800kg代の車重に135馬力のターボエンジンを搭載し、 しかもちょっとイジっただけでカットビマシンになるこの車はイニシャルDには 登場してこないものの(1巻の47ページにはいるが・・・)かなり有名なコンパクトスポーツカーと言える。 そのEPに搭載されるエンジンが4E−FTEである。TはターボのTだ。

5Eは4Eのストロークアップ版、ということは見た目は5Eも4Eも変わらない。サイズも。ということは 必然的にセラに搭載できるのである。ターボタービンがくっつくが、セラのエンジンルームは結構 スカスカだから載る。載ってしまうのである。

4E−FTEエンジンは初期設定で過給圧0.65k(Hiモード)。これは一定圧以上でブーストを抜く弁 (アクチュエーター)が始動するためである。これは、強化型の弁にすることにより〜1.5キロまで設定できるが、 エンジンを壊さないためにも最初は0.8kにした。また、純正4E−FTEはエンジンの上に インタークーラー(圧縮され高温になった過給気を空気冷却して密度を上げ燃焼効率を上げる)がエンジンの上に 付いているが、セラはボンネットにダクトがないので意味がない。というか、そのままつけても ボンネットが閉まらない(泣)ということで、バンパーに設置。 その他チョコチョコっとイジるだけで、135馬力のエンジンが165馬力近くまで上がる。 エンジン搭載と共にミッション化されたセラは890kgまで軽量化され、PWR=890÷175= 5.08kg/psとなる。インテR?それどころか、GT−Rに匹敵するスペックになってしまう。 駆動形式がFFだけにGT−Rにはかなわないが、それでも国産最強のFFになることは 確実だろう。セラが個性の車であり、「違う」ことをその価値観に組み込んでいるのなら、 「違い続ける」こともその車の宿命でもあり、それは車においては「進化」を意味するので ある。

セラに最初から4E−FTEが搭載されていれば・・・・・・・・・というのは「ロードスターに インテグラtypeRのB18Cが載ってれば」というくらい聞く。100万回くらい聞く。 おっと、セラは1万4000台しか生産されてないんだった(爆)まぁ500回くらいは聞くかな(笑) もし搭載されていれば、もっとメジャーな車になっていたはずだ。おそらく生産10万台、アフターパーツも 豊富に出ていただろうに。何を思ったか開発者はセラをスポーツカーとして見ていなかったようだ。


車両重量 930kg→890kg

■エンジン
エンジン型式 5E-FHE→4E-FTE 
種類 直列4気筒NA→直列4気筒ターボ
総排気量 1496cc→1331cc
圧縮比 9.8→8.2
最高出力 110ps/6400rpm→135ps/6400rpm
最大トルク 13.5kg・m/5200rpm→16.0kg・m/4800rpm